Ｔｅａｃｈ ｍｅ ａｂｏｕｔ “×××”!!! ３

続き物です。

よろしければ、下へどうぞ。







『ちう』は食べ物じゃないらしい。

ショックだ。

口を合わせるんだろう？

ますます良く分からない。

まぁ、いいや。

さっそく、フラッシュに教えにいってやろう。








知っていやがった。

俺でも知らないことを。

何で知ってるんだよ。

ハゲのくせに。　ハゲのくせに。



一人で廊下を歩く。

フラッシュなんて大嫌いだ。

『知ってる』　
なんて、あっさり返しやがって。




これじゃあ、俺、馬鹿みたいじゃんか。





自分の部屋へとたどり着き、明かりも付けずに隅にへたり込む。

それでも、窓から月の光が入ってきて少しは明るい。



ショックだった。



『俺、全然兄らしくないな・・・』

弟に先越されて。

一人で舞い上がって。

自己嫌悪。




―　フラッシュは　ちう　をしたことはあるのかな・・・？　―

自分の唇にドリルを当ててみる。

―　こことここを、くっつけるんだっけ・・・　―

見えない影に向かっての　ちう　の真似事。


―　こんな感じ？　それとも、こんな感じか？　―


分からない。知らない。誰も教えてくれない。


虚しさだけが胸の中に広がっていく。








『知ってる』

自慢げにそんな事言われても。

知ってる、としか言いようがない。

むしろ、知らなかったのかよ。




ハッ、とした時にはもう遅く、その顔は瞬く間に紅く染まっていた。

そんな顔で睨まれても、可愛いとしか思いようがない。
と、思っている自分がいた。


そして、最後の一言。


『フラッシュなんて大っ嫌い！！！』


ドアを乱暴に開け、いきおい良く出て行ってしまった。



大嫌い。



今までに、これほど胸に突き刺さる言葉を言われた事はあっただろうか。

しかも、世界で一番、愛おしい人に。



いつも、いつもこの感情が裏目に出てしまう。


こんなときだけは、クイックが羨ましい。





こんな時、こんな時は、







追いかけるべきだ。