ご褒美 （光壊＋鋼）

蒼紅林檎の林檎飴　様より１５００Ｈｉｔキリバン小説を頂きました。

２回目です。やったね！（何



 

「フラッシュ、頼みがあるんだが･･･。」








―ご褒美―









「なんだよ。」

「クラッシュに字の読み方を教えてくれないか？」


･･･は？
なんで俺なんだよ
読書してるのが見えないのかこいつ


「それくらいメタルが教えろよ。」

「俺はこれから少し遠くのスーパーへ買い物に行く。
　今日は野菜が4割引きになっているしな。
　それにあの店の人間達は気前がいいから常連だと多少値引きしてくれる。
　このチャンスを逃す訳にはいかないだろう！」

「･･････。」


ため息


なぜこいつはどこかの主婦のような発言をするのだろう
その前に今こいつ常連って言った？
何やってんのお前

俺たちは戦闘用ロボだ
家庭用でもなければ工業用でもない
俺たちは世界征服を企んでいる危険分子
世間から恐れられているはずの存在だ

こんな戦闘用にあるまじき発言をしていいのか

考えてもみろ
普段は破壊活動をしており、世界征服を企んでいるロボットがいたとする

通常のロボットや人間達は、そいつらに恐怖や怒りを覚えるはずだ

殺されたくない
世界征服なんて御免だ

そう考えるのは当たり前のこと
そいつらにとって奴らは恐怖や怒りの対象だ


だが、その対象がデパートに訪れている
その対象が値下げ商品目当てに買い物をしている
その対象が店員と仲良く談笑し、値引きしてもらっている


彼らがこんな姿を見たらどう思うだろう
ただ唖然としているだけかもしれないし、今までの恨みを晴らすため攻撃してくるかもしれない

いずれにしても普通の反応が返ってくることはないだろう

まあ俺たちは姿があまり知られていないが･･･


だがメタルはさっきから家事に関することしか話していない

今夜博士の夕飯は何にしようか
せっかく割引きになったのだから野菜中心にしようか
確かE缶も安くなってるはずだから普段より多めに買ってこよう
などなど

お前いっそのこと家庭用ロボになれよ
普段と変わらないと思うぞ
弱いし
お前が言うなって？うるせえ黙れ


メタルの話に付き合いたくない俺は、渋々了解した


「わーったよ･･･。」

「本当か！？
　流石俺の弟だな。
　よし！では行って来る！」

「おう･･･。」


メタルは
先を越されてたまるかー！
とか言いながら基地を出た
なんでこんな時だけ足速いんだよクイックと同等のスピードじゃねーのかこれ

昔バーゲンセールは戦場だと聞いた覚えがある
今のメタルの姿を見たらなんとなく想像がついた


とりあえず、クラッシュの所へ向かう



「おい、クラ―」

「あ、フラッシュ！
　勉強教えてくれるんだろ？」


なんで知ってんだよ
え？メタルがあらかじめ伝えてくれた？
あの野朗最初から俺にやらせるつもりだったのかよ覚えてろ


「･･･さっさとやるぞ。」

「はーい。」



*



クラッシュはなかなか上達しなかった

かなりの時間やっているが、まだ兄弟達の名前を読めるようになった程度

だが元々頭脳プログラムが少ないのだから仕方が無い
早く覚えさせようと無理に知識を詰め込んでも、すぐに忘れてしまう

だから時間をかけて、ゆっくり、確実に覚えさせるのだ

こいつにしては兄弟8体と博士の名前を読めるようになっただけでも上出来だろう


そろそろいい時間だし、やめるか


「もういいだろ。
　兄弟全員と博士の名前覚えたし。」

「疲れたー･･･。」

「お前にしては上出来だろ。」

「ホントか!?」


一瞬にして表情が変わる
相変わらず面白いやつだ


「じゃあさ、『ごほーび』ちょーだい。」

「はぁ？」

「俺にしては上出来なんだろ？」



頭を抱えた

いや確かにそうだがなんで俺がお前に褒美をやらなきゃいけないんだよ
俺がこいつに褒美をやる義務はない
だが逆らえばクラッシュボムの餌食になる
まさに生か死か

こんなところで死んでたまるか冗談じゃねーよ
俺は仕方なく前者を選んだ
「仕方なく」だからな？



なにをしてくれるのかと胸を躍らせているソイツを、なんの前触れもなく抱きしめた







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セクハラだよ、隊長！！！
それにしても、クラッシュは可愛いなぁ。
ごほーびだよ、ごほーび！！！
平仮名なんだよ、ひ・ら・が・な！！！

メタルのオカンっぷりに笑いました。
それじゃあ、オトンはエアーか。

二ヨニヨが止まらない素敵小説、ありがとうございました！