In the aquarium. （泡壊）

泡と壊の出会い話。

よろしければ、続きからどうぞ。










新しい弟が出来た。


まぁ、僕にはあまり関係の無いことだけれども。





In　the　aquarium.






いつも薄暗い水槽の中は落ち着く。
だって、ここが僕の居場所だから。



ゴボゴボと音を立て、水泡が現れては、消えていく。

『・・・クラッシュマン。Ｎｏ 、１３。　僕の、新しい弟・・・。』


興味が全く無いと言っては嘘になるが、僕にはどうすることも出来ない。

どうせ、会うことすら叶わないだろうし。




現れては消え、また現れては、消えていく。
ただそれの繰り返し。

僕の日常も、ただそんな風に。






光を見たい。

太陽が見てみたい。

だけれども、その願いは届かない。
だって、僕の居場所はここしか無いから。




僕の身体は陸には対応していなくて、他の兄弟と会うことすらままならない。
まぁ、ちょっかい出してくるヤツはいるけれども。



それが寂しいだなんて、思わない。
だって最初からこうだもの。

望みようが無いじゃないか。
知らないものは、解らない。

叶わないものは、叶わない。

世の中、諦めが肝心なんだよ。





しょうがないよ、だって僕だもの。





海のあぶくとなって消えてゆきたい。

誰にも邪魔をされずに、静かに。


消えてゆけたら。





『、っ！？』

不意に物音がした。


まるで、誰かが水の中に飛び込んだような・・・。


水の中に飛び込んだ？

そんな馬鹿な事がある訳ない。

そんな・・・。









目の前に、橙が現れた。